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エラスティックな素材(メリヤス/ニット)は普及しておらず、ジップ(特許は1917年)もない時代、1800年代から1900年代初めまで、下着や寝具、インテリアに至るまで手軽で安価な半工業製品の糸布ボタンの需要は膨大なものであった。ボタン穴を大きくしてテープを通しサイズ調整できる下着ボタンもある。(コルセットやブーツや手袋用ボタンは数が多いので、『ボタンフック』も数多く残されている。靴べらshoehornと同様お土産や宣伝ノヴェルティグッズの代表だった)

洗濯の容易さ、肌に当たる優しさから下着や子供用にも広く求められた糸ボタンは、南イングランドのDorsetで始まったとされる。このモールドに巻き付けていく糸かがりのボタンは次々と改良を重ね、大量にカード販売されるようになっていく。現在でもドイツ/オーストリアでは好まれ、チェコには当時の製造マシンも残っているようである。色糸を使用したそのヴァリエーションなどもあり、またcrochet編みなどとともに手芸的な楽しみを目的とする糸布ボタンも存在する。ボタンの芯としては、木や紙やウール、カポック(キワタ)などが使用された。

さらには、5mm以下の極小サイズでシルクなどを使用したトリミング用ボタン と称される縫い付け仕様の布・糸かがりなどの特殊な装飾目的のボタンも数多く存在しており、1900年代の前半位までは、縫製一般の場面で糸布ボタン仕様半工業製品が広く流通していたが、現代ではそれらはかなり遠い存在となっており忘れられている。(年代が経過すると実際の使用には耐えられないことが多い)

最後は一般的にはセーラーズノットと称されるコードやブレード製。(ボタンホールではなく)ループにかけるチャイニーズノットや、モロッコなどの男性服の糸ボタンなどノット仕様ボタンも広く使用されている。